現在国内外で、医療情報交換のための新しい標準規格としてHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resource)が、注目されています。その理由としては、現在普及している一般的なIT技術を活用して連携が図れ、構造的に一般的互換性がある、可動性の高いリソースモデルだからです。
日本でも、厚生労働省が「HL7 FHIRに関する調査研究一式最終報告書」をまとめ、さらに、標準規格としてFHIR記述仕様の採択が進められています。
このシリーズでは、FHIRとはなにか、から、海外や日本の動向、今後の可能性についてまとめていきます。
今回は、「FHIRとはなにか」をご説明させていただきます。
FHIR®︎とは
「FHIR」とはFast Healthcare Interoperability Resourcesの略であり、「手早く設計し導入できる保健医療分野の相互運⽤性リソース」という意味です。
FHIRはHL7 Internationalによって作成された「医療情報交換の次世代標準フレームワーク」であり、医療の診療記録等のデータのほか、医療関連の管理業務に関するデータ、公衆衛生に係るデータ及び研究データも含め、医療関連情報の交換を可能にするように設計されています。さらに、FHIRはヒトの医学のみならず、獣医学もカバーしており、多種多様な状況で世界中で使用できるように意図されています。
現在、諸外国ではモダンWEB技術をベースとするFHIRの特徴を活かし、積極的に活用している状況にあります。
FHIRの特徴として、以下の3つが挙げられます。
実装が容易であること
実装者コミュニティが活発していること
既存形式の蓄積データから必要なデータのみ抽出・利用が可能になること
FHIRの構成要素
FHIRの主要な構成要素としては、”リソース”と呼ばれる「データ交換の小さな論理的に独立した単位」と”API”を定義しています。
リソースについて、80%が標準として定められており、現場の多様性を残りの20%の拡張で表現する方針でFHIR基本使用を策定しています(80%ルール)。
APIについては、RESETful APIを中核技術と位置づけ、旧来のSOAP API等と比較して、サービス構築が容易で、柔軟なデータの引き出しが可能となっています。
参考資料:
「HL7 FHIRに関する調査研究一式最終報告書」 株式会社富士通総研 令和2年3月(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15747.html)
第39回医療情報学連合⼤会 FHIRシンポジウム 「HL7® FHIR® とは何か?」 塩川 康成(キヤノンメディカルシステムズ株式会社)(https://confit.atlas.jp/guide/organizer/jcmi/jcmi2019/subject/3-A-1-03/search?searchType=only&initFlg=false&query=FHIR&title=&author=&affiliation=)
一般社団法人 医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)Webサイト(http://helics.umin.ac.jp/index.html)
イサナドットネットでは、
FHIRをベースとした新規システムの開発
SS-MIX2などをベースとしたシステムからFHIRベースへの転換
SS-MIX2などをベースとしたシステムとFHIRベースのシステムとのインターオペラビリティ
の開発に取り組んでいます。